「相続」と聞くとあまり身近なものではないのでなかなかイメージもできないかと思います。
しかし、「相続」は配偶者や血の繋がった人がいれば誰にでも起こることです。
問題は、この誰にでも起こり得る「相続」について事が起こる前から真剣に向き合っている方が少ないという事です。
「遺産分割」、「遺言」、「生前贈与」、「税金対策」など「相続」に関する問題は意外と多く、相続人の間でのトラブルが後を絶ちません。
なによりも、残された人達(兄弟など)が「相続」で揉めると、亡くなった人はきっと安らかに成仏することができないでしょう。
そんな悲しい事態を防ぐ為に、ただの不動産屋店長というだけでなく相続診断士でもある私が、相続で揉める4つの理由を解説致します。
目次
相続で揉める4つの理由!〜「相続」とは〜
「相続」とは、被相続人(亡くなった人)の財産(全ての権利や義務)を相続人が引き継ぐことをいいます。
相続が発生すると、被相続人の「積極財産」も「消極財産」も相続人に引き継がれます。
積極財産・・・現金、預貯金、有価証券、不動産、動産などのプラスの財産
消極財産・・・借金などのマイナスの財産
相続で揉める4つの理由!①法定相続分どおりに相続財産を分けることができない
被相続人が遺言書を残している場合は、相続財産の取り分など遺言書の内容に従えば良いですが、遺言書がない場合は「遺産分割協議」を行わなければなりません。
その場合、相続財産の全てが現金であれば分かりやすくて良いですが、現実はそう簡単にはいきません。
相続財産の半分以上は不動産だと言われており、不動産の他にも株式など換価しにくい財産がたくさんあります。
換価しにくい財産を「法定相続分」どおりに分配するのはかなり難しいです。
遺産分割協議・・・相続人全員で相続財産の分配について話し合うこと(相続人全員の合意があれば遺言書と異なる内容での分配も可能)
法定相続分・・・被相続人の財産を分配する際に、各相続人の取り分として法律で定められた割合
相続で揉める4つの理由!②家督相続世代と法定相続世代の考え方の違い
年齢的に、財産を渡す側の方は「家督相続世代」である場合が多く、財産を受け継ぐ側の方は「法定相続世代」である場合が多いです。
この世代間ギャップがトラブルの原因になります。
家督相続・・・旧民法の相続方法で、財産は全て長男が受け継ぐという考え方
法定相続・・・民法で定められた相続人(法定相続人)が民法で定められた割合で財産を受け継ぐという考え方
相続で揉める4つの理由!③相続について気軽に相談できる専門家が身近にいない
相続税の節税が得意な税理士さん、不動産屋、保険屋などはたくさんありますが、相続で揉めない方法を教えてくれる専門家は少ないです。
相続で揉める4つの理由!④相続が発生する前に積極的に対策を考えようとしない
相続が発生した時に財産を渡す側も受け継ぐ側も、現段階で相続について困っている訳ではないので、相続発生前に危機感を持つ事はかなり難しいです。
ただ、相続が発生してから対策を考えても遅いという事は言うまでもありません。
相続で揉める4つの理由!〜まとめ〜
上記の理由を踏まえた上で、相続で揉める事を防ぐ為に一番重要なのは、相続が発生する前に家族で相続について話し合うことです。
相続についての話題にはなかなか触れにくいですが、トラブルが起こって家族がバラバラになってしまうといった最悪の事態を避けることができます。
遺言書で想いを残すことができればいいですが、いきなり遺言書を書くのは気が重いかと思うので、そういった場合はエンディングノート(死に備えて自分の想いを自由に書き留めておくノート)を活用するのが良いでしょう。
ちなみに相続診断士はエンディングノートを書くお手伝いなどもしています。
今後、高齢者が増えていくと相続も増えていくことになります。
相続について司法書士や弁護士、税理士などの専門家にアドバイスをもらう事は大切ですが、「誰に相談すれば良いのか分からない」といった方が非常に多いです。
最近では、相続診断士などが在籍している不動産屋や保険屋など身近な所から専門家に橋渡しをするケースも増えていますが、まだまだ少ないのが現状です。
今後は、知識のある方や専門家が、一般の方へ向けてもっと相続についての問題啓発を促していかなければなりません。