「理想のマンションと思いきやとんでもない落とし穴があった!」なんて事はよくあります!
表面的な理想だけを追い求めると意外な欠点に気が付かない場合が多いです!
普通とは違う条件やマイナスになる部分を全て包み隠さず説明してくれる不動産屋だと良いですが、担当によってはマイナスとなりうる部分を有耶無耶にしてしまうような人もいます。
そこで、最初に「このような物件だけは買わない方がいい」という条件を抑えておけば最低限の自己防衛になるのではないでしょうか?
そこで不動産屋店長の私が「買わない方がいいマンションの条件」をいくつかお伝えしていきます。
第2回目は「借地権」についてお伝えします。
目次
借地権とは
マンションを探していると、「築年数が浅くて立地も良いのに相場よりも極端に安い!」といった物件に出会う事があります。
そういったマンションは「借地権付きマンション」の可能性があります。
借地権とは、建物を建てる為の土地を地主さんから借りる権利の事です。
普通のマンション(所有権)であれば、そのマンションが建っている土地にも購入者の持分がありますが、借地権の場合、土地は地主さんに借りているだけなので、購入者に土地の持分はありません。
簡単にまとめると、他人の土地の上に自分のマンションが建っている状態という事です。
また、平成4年に借地借家法が改正され、借地権は「定期借地権」と「普通借地権」になりました。
「定期借地権」に至っては3種類に分けられますので、それぞれの特徴を解説致します。
ちなみに、法改正前の借地については現在でも旧借地権が適用されていますが、今回は改正後(新法)の「定期借地権」と「普通借地権」を取り上げていきます。
定期借地権
定期借地権は契約期間満了後の更新が無い借地権です。
定期借地権は3種類ありますが、「借地権付きマンション」で主流となっているのは下記で説明する「一般定期借地権」になります。
一般定期借地権
借地の契約期間が50年以上で、期間満了後は原則として建物を取り壊し、更地に戻して返還しないといけません。
事業用借地権
借地の契約期間が10年以上50年未満で、用途は事業用のみ、期間満了後は原則として建物を取り壊し、更地に戻して返還しないといけません。
建物譲渡特約付借地権
借地の契約期間が30年以上で、期間満了後、地主さんが建物を買い取ります。
普通借地権
普通借地権は契約の更新が出来る借地権です。
借地の契約期間は最初が30年、更新1回目が20年、それ以降の更新は10年と期間が決まっており、地主さんはよほどの理由(正当事由)が無い限り、契約の更新を拒絶することができず、土地を返還してもらう事ができません。
さらに、期間満了後に建物が残っている場合、借地人は地主さんに建物の買い取りを請求できます。
また、借地の所有権が第三者に渡った場合、借地人はその第三者に借地権を主張する事ができます。
簡単にまとめると、借地人に圧倒的に有利であり、地主さんに圧倒的に不利な借地権です。
上記の事から、基本的に普通借地権はあまり使われません。なぜなら地主さんがこのような不利な条件に納得しないからです。
そもそも、借地人と地主さんとの間で土地の返還に関するトラブルが多かったので、借地借家法が改正され、地主さんに有利な定期借地権が生まれました。
借地権付きマンションのメリット・デメリット
メリット
・相場よりも物件価格が安い。
・土地の固定資産税及び都市計画税の負担が無い。
デメリット
・契約期間満了後に地主さんに土地を返還しなければならない。
・土地を返還する際、建物を解体し更地に戻す必要があるので、建物の解体積立金が必要となる。
・毎月地代を支払わなければならない。
・銀行からすると、取り壊す事が決まっている物件に担保価値は無いので住宅ローンの審査が通りにくい。
・契約残存期間が短い場合、売却しにくい。
・売却時、地主さんの承諾が必要だったり、承諾料を請求される場合がある。
借地権付きマンションを買わない方がいい理由
まず、上記でメリットを伝えましたが、そのメリットもメリットと言えるのか分かりません。
なぜなら、相場よりも安く物件を購入出来るとはいえ、土地の持分が無いのでそんなことは当然です。
また、土地の税金が掛からないのも土地に持分が無いので当然ですし、税金の代わりに毎月の地代はきっちりと必要になりますので逆にマイナスです。
おまけに土地価格が上昇すると地代も上がる場合があります。
さらに、売却を考えた時、契約残存期間が短いと買う側からすると意味が無いので、誰も購入しようと思わないでしょう。
取り壊しの決まった物件のみを購入するぐらいなら賃貸の方が良いのでは?というのが私の意見です。
むしろ毎月地代を支払っているので半分賃貸と同じです。
「買わない方がいいマンションの条件」②借地権 まとめ
建物にしか所有権のない「借地権付きマンション」は中途半端な物件なので、その物件にしか無い魅力がある場合(特殊な立地など)以外は購入しない方がいいかと思います。
メリットよりもデメリットの方が圧倒的に多いので、購入を検討する場合は、本当に自身や家族に合った物件なのか、本当にこの物件しか選択肢は無いのかをよく考えましょう。
買って後悔しないマンションを選んで頂ければと思います。